心臓専門病院でのハープ音楽

ニュー・メキシコ心臓病院
ハープセラピー・プログラム

2003年 3 月、ニュー・メキシコの心臓治療専門病院で患者のベッドサイドで生のハープ音楽を提供するという試験的なプロジェクトが始まりました。これは、療法音楽の実践者であり、かつハーピストであるスー・ホードリーさんによって提案されました。これは、手術前や手術後の患者や家族の不安を和らげるためのものです。1分間に60-70拍で奏でられる静かなハープ音楽に、アメリカ先住民の笛の伴奏がつくこともあります。医者やスタッフからは勿論、患者からも、定期的な患者ケアの一部としてこのプログラムの継続を支持する前向きな反応が押し寄せています。

このハープセラピー・プログラムは、不安やストレスなどに対する音楽の効果について調べたメドリンの研究が基本となっています。同様のもう一つの研究に1993年にミルーク・コアサが行ったものがあります。それは、手術の予定を告げられた時の患者の血中のグルコースとコルチゾール濃度をストレス表示計器で記録したものです。「音楽なし」のグループの患者のそれらの濃度に変化がなかったのに対し、ゆったりした音楽を聞いた患者の間ではこれらの数値が元の値から1ポイント以上も急速に減少したのです。

この心臓治療専門病院では週3日、日帰り外科病棟の待合室や病室で待っている間、ハープ音楽を聞くことができます。これについては、まだ必ずしも信頼に足りる情報ではないのですが、スタッフの観察によると、音楽を聞いている間や聞いた後には手術前後の患者の自己申告による痛みや心拍数、血圧の値が減少した、という多くの事例が報告されています。カテーテル治療後の患者に対するこのような効果を測る正式な研究が今、企画されているところです。

しかし、患者やその家族からの自発的な反響の中にこそハープセラピー・プログラムの真価が表れています。ある家族は次のように言ってきました。「この病院に入るとすぐ、心安らぐ気持ちになり、治療が前進するという実感があります。病院側は、医療においては薬や手術が優位を占めることを知りながらも、我々が生きていくには精神的な支えが必要だと悟り、いろいろな方法で心を癒す実例を出しています。しかし、本当に人の心を癒すのはハープセラピーが一番です」と。また、ある患者はこのように書いています。「病院は私の心拍数を下げること以上に多くのことをしてくれました。音楽のお陰で私は目を閉じ、パニックになりそうな気持を十分にコントロールできる程に心を落ち着かせることができたのです。病院の皆さんの励ましのお陰でペースメーカーをつけられるまで頑張ることができました」。

(KN 訳)

戻る
ハープ・セラピー